勝利の経 スッタニパータ 第1章11 193-206

勝利の経は、スッタニパータ(ブッダのことば)の蛇の章11番です。


以下、2つのバージョンを載せます。最初は、日本テーラワーダ仏教協会のもの、次が中村元先制の訳のもの。

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日常読誦経典に掲載されている補足:

自分の身体をあまりにも可愛がると修行が後退することになります。
身体を気にすることは執着です。執着を捨てるための実践を成功させるには「ありのままの身体を観察する」のです。お釈迦様の時代では修行者たちがこの経典を日夜唱えて、「身体のことが気になって修行に励めない」というこころのわだかまりを解いたのです。
解脱を体験しようとする戦いで勝利を得るための経典です。



193.
歩く、立つ、座る、横たわる、
伸ばす、縮む。身体の動きはこれだけです。

194.
(この身体は)骨と腱で組み立て、肉と皮膚で舗装されている。
皮膚に隠れているのでありのままには観られない。

195.
身体は腸に充ち、胃に充ち、また、肝臓の塊・膀胱・心臓・肺臓・腎臓・脾臓があります。

196.
(この身体には)鼻汁・唾液・汗・脂肪・血・関節液・胆汁・膏がある。

197.
またその9つの孔からは、常に不浄物が流れ出る。
目からは目やに、耳からは耳垢、

198.
鼻からは鼻汁が出る。 口からはあるときは(食べたものを)吐く。
またあるときは胆汁を、あるときは痰を吐く。
全身からは汗と垢とを排泄する。

199.
またその頭蓋骨の空室は脳髄に充ちている。
しかるに愚か者は無明に誘われて、
身体を清らかなものだと思いなす。

200.
また身体が死んで横たわるとき、膨れて、青黒くなり、
墓場に棄てられる。親族もこれを顧みない。

201.
犬や野狐や狼や虫類がこれを喰らい、
烏や鷲やその他の生き物がこれを啄む。

202.
ブッダのことばを聞いて、智慧ある修行者は、
この(身体の)ことを完全に了解する。あるがままにのみ観る。

203.
<かの死んだ身も、この生きた身のごとくであった。この生きた身も、かの死んだ身のごとくになるであろう>と、自分の身体に対する欲をも、他人の身体に対する欲をも、離れるべきである。

204.
愛欲を離れた智慧ある修行者は、
不死・平安・不滅なるニッバーナ(涅槃)という最高の境地に達した。

205.
不浄で、悪臭を放つ、この身体を人間が守っている。
種々の汚物が充満し、ここかしこから流れ出ている。

206.
このような身体をもちながら、
自分を偉いものだと思い、また他人を軽蔑するならば、
かれは〈観る能力がない〉という以外の何だろう。


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193.
或いは歩み、或いは立ち、或いは坐り、或いは臥し、身を屈め、或いは伸ばす、---
これは身体の動作である。

194.
身体は、骨と筋によってつながれ、深皮と肉とで塗られ、表皮に覆われていて、ありのままに見られることがない。

195.
身体は腸に充ち、胃に充ち、また、肝臓の塊・膀胱・心臓・肺臓・腎臓・脾臓あり、

196.
鼻汁・粘液・汗・脂肪・血・関節液・胆汁・膏がある。

197.
またその九つの孔からは、つねに不浄物が流れ出る。眼からは目やに、耳からは耳垢、

198.
鼻からは鼻汁、 口からは或るときは胆汁を吐き、或るときは痰を吐く。全身からは汗と垢とを排泄する。

199.
またその頭(頭蓋骨)は空洞であり、脳髄にみちている。しかるに愚か者は無明に誘われて、
身体を清らかなものだと思いなす。

200.
また身体が死んで臥すときには、膨れて、青黒くなり、墓場に棄てられて、親族もこれを顧みない。

201.
犬や野狐や狼や虫類がこれをくらい、烏や鷲やその他の生きものがこれを啄む。

202.
この世において智慧ある修行者は、覚った人(ブッダ)のことばを聞いて、このことを完全に了解する。何となればかれは、あるがままに見るからである。

203.
<かの死んだ身も、この生きた身のごとくであった。この生きた身も、かの死んだ身のごとくになるであろう>と、内面的にも外面的にも身体に対する欲を離れるべきである。

204.
この世において愛欲を離れ、智慧ある修行者は、不死・平安・不滅なるニルヴァーナの境地に達した。

205.
人間のこの身体は、不浄で、悪臭を放ち、(花や香を以て)まもられている。種々の汚物が充満し、ここかしこから流れ出ている。

206.
このような身体をもちながら、自分を偉いものだと思い、また他人を軽蔑するならば、かれは〈見る視力が無い〉という以外の何だろう。

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