慈悲の瞑想 ステップ・バイ・ステップ 直感に従ってやってみること

こんにちは。
先日、瞑想仲間と話していたところ、慈悲の瞑想についての話になり、私が2ヶ月くらい前に考えついて、でも書くのも面倒だなと思って書かないでいたアイディアを伝えたら、書けと言われましたので、書いてみます。

これまで何個か、慈悲の瞑想について、ブログ記事を書きました。

たとえば、

慈悲の瞑想
http://juryoku.blogspot.jp/2016/07/blog-post.html

慈悲の瞑想について ヒントになることのそのリンク集
http://juryoku.blogspot.jp/2016/09/blog-post_4.html

慈悲の瞑想についての一考察: 慈悲、欺瞞、偽善、行動という視点から
http://juryoku.blogspot.jp/2017/08/blog-post_12.html

など。

さて、三番目の記事で書いたように、慈悲の瞑想は嫌いな人にはとても嫌われる実践ですが、やるかやらないかはすべて個々人の選択であり、やらないことを責めるつもりは全くありません。やらないと駄目と言うつもりもないです。ただ、「やれば楽になることはある」と言えると思ってます。また、マインドフルネス、ヴィパッサナー瞑想の準備体操みたいになるので、もしそれらをやってみたいなら、一つのトレーニングとしておすすめできるとも思います。

なのでこの記事は、「ちょっと抵抗感強いんだけど、心にいいならやってみてもいいかなあ」位に思っている人から、どうにかして心を落ち着かせたいんだけど、抵抗強いんだ、辛いんだ、という人、あるいはヴィパッサナー瞑想を進めていくためのトレーニング、そして慈悲の瞑想の仕方を、感情的な嵐の中にいて苦しんでいる人に伝えるための一工夫といったような目的意識で書いてます。

なお日本テーラワーダ仏教協会の慈悲の瞑想をもとにしたステップバイステップだけど、グナラタナ長老バージョンでも同じようにしていくことはできると思います。また、あくまでも私案であり、誰かに対して実践してみたものでもありませんし、日本テーラワーダ仏教協会とも関係ありません。そのため、一切の責は私にあるということでお読みください。

慈悲の瞑想 直感に従うステップ・バイ・ステップ 

1. 基礎部分

さて、慈悲の瞑想は「5つの対象」に「4つの気持ち」を作る心のエクササイズです。具体的には、
  1. 私の親しい生命
  2. 生きとし生けるもの
  3. 私の嫌いな生命
  4. 私を嫌っている生命

  1. 幸せでありますように
  2. 悩み苦しみがなくなりますように
  3. 願い事が叶えられますように
  4. 覚りの光が現れますように
と念じます。覚りの光、がわかりにくかったら、冷静であるように、落ち着いていられるように、智慧の光が現れるように、など、「感情が落ち着いて理性・判断力が発揮できる状況にあるように」と念じる意味合いで取ってもらえればと思います。(この4つは、慈悲喜捨にそれぞれ対応しています)

具体的な文言は、慈悲の瞑想 http://juryoku.blogspot.jp/2016/07/blog-post.html
を参照していただければと思いますが、言葉にすると、
  • 私は幸せでありますように
  • 私の悩み苦しみがなくなりますように
  • 私の願いごとが叶えられますように
  • 私に悟りの光が現れますように
というものです。この「私」の部分をその他のものに置き換え、全部やると1ターンです。

2. 直感的にサーチする

で、ここからが本稿のポイントなんですけど、「一番ラクな瞑想だけしてみよう」というのが私の発想です。

というのは、慈悲の瞑想は実は20種の瞑想をしているわけです。5×4なので。この中で辛いものはやらない。辛さによっては1つだけやる、そういうふうに進めればいいのではないかと。

具体的に言えば、
「私、私の親しい生命、生きとし生けるもの、私の嫌いな生命、私を嫌っている生命 の中で一番ラクに、その幸せや苦しみがなくなることなどを念じられる、思い浮かべられる、頭のなかで、あるいは声に出して、ことばを出せる相手はどれか?」
と考えると、多分、今すでに、皆さんわかっていると思います。人によってそれは違っていて、「私」が言えない人もいれば、「私の嫌いな生命」には言えないって人もいます。とにかく、具体的にはわからないけれど、これはいや、このカテゴリーは触れたくない、と思ったりすると思います。

そういう直感はその人にとって正しいから、その直感に従ってやってみましょうというのがこのステップバイステップの肝です。

また5つの対象の方だけでなく、「幸せでありますように」 よりは「悩み苦しみがなくなりますように」のほうが言えそう、という直感もあるでしょう。

こうした直感に従うと、何が楽で何が楽でないかが、かなり明確にわかると思います。




3. 直感にしたがって、やりやすい順にやってみる

以上のように考えると、20種の瞑想はやりやすさ、やりにくさの順序に並べられるでしょう。それをやりやすい順にやっていきましょう。

じゃあどれくらいの数からやればいいかというと、自分がやれるだけの数からでいいですし、それは最低1つまで減らせます。つまり唱えやすい対象に、唱えやすい気持ちひとつだけを念じる、それだけからスタートしてOKです。たとえば、「私は幸せでありますように」一つ、あるいは「私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように」ただひとつから。

これならば、それほど辛くないでしょう? もっとも、これでも辛くて無理という人もいるかもしれません。辛いのがだめなわけではないですしね。ただその場合、残念だけど、慈悲の瞑想はやらないほうがいいということになります。その人にはもっと、気持ちそのものには触れないようにするやりかたがいいでしょう。

やれそうな人は、改めて、この中でどれとどれはやれそうか、ピックアップしてみてくださいね。全部でももちろんOKです。

  1. 私 は幸せでありますように
  2. 私 の悩み苦しみがなくなりますように
  3. 私 の願いごとが叶えられますように
  4. 私 に悟りの光が現れますように
  5. 私の親しい生命 が幸せでありますように
  6. 私の親しい生命 の悩み苦しみがなくなりますように
  7. 私の親しい生命 の願いごとが叶えられますように
  8. 私の親しい生命 にも悟りの光が現れますように
  9. 生きとし生けるもの が幸せでありますように
  10. 生きとし生けるもの の悩み苦しみがなくなりますように
  11. 生きとし生けるもの の願いごとが叶えられますように
  12. 生きとし生けるもの にも悟りの光が現れますように
  13. 私の嫌いな生命 も幸せでありますように
  14. 私の嫌いな生命 の悩み苦しみがなくなりますように
  15. 私の嫌いな生命 の願いごとが叶えられますように
  16. 私の嫌いな生命 にも悟りの光が現れますように
  17. 私を嫌っている生命 も幸せでありますように
  18. 私を嫌っている生命 の悩み苦しみがなくなりますように
  19. 私を嫌っている生命 の願いごとが叶えられますように
  20. 私を嫌っている生命 にも悟りの光が現れますように

4. やり続け、増やし続けていく

さて、以上のように楽なものを見つけたら、次のポイントは、毎日一回は必ずやること、そして慣れてきたら増やしてみること、です。


数で表せば、1錠から20錠まで薬の数があるわけですが、1つから初めた人は1週間位はそれだけを一日最低1回は念じてみてください。毎日一回はやってみるというのを最低ラインとしてみてください。そうじゃないとやっていることにならないので。もちろんそのセッションで何回念じてもOKです。10回でも100回でもOKです。

そして、結構楽にやれるようになってきた、と思ったら、別の種類を一つ増やしてみましょう。「私は幸せでありますように」にプラスして「私の悩み苦しみがなくなりますように」を付け加えてみましょう。無理だったら戻してもいいけれど、多分やれると思います。

これを全種類やれるところまで、徐々に広げていきましょう。一年かかっても二年かかっても問題ありません。ゆっくりで問題ないです。やり続けさえすれば、こころが少しずつ落ち着いていきます。

また、具体的なやり方としては、たとえば、一日朝起きたときに一回、学校や職場などに入る前に一回、そして寝る前に一回、と三回やるのもいいですし、一日一回でもいいです。この調節も自分の直感でやってみてください。1セッション何回というのも自分で決めてみてください。3回でも10回でも。

ただ、あまり深く思いを込めずにやってみてくださいね。そうじゃないと辛くなるかもしれないから。サラッとした感じが良いと思います。

その他のやり方はこちらの記事もご参考にどうぞ。

慈悲の瞑想について ヒントになることのそのリンク集
http://juryoku.blogspot.jp/2016/09/blog-post_4.html


このようにすすめていくと、自分の心の状態とかが如実にわかるようになります。そのことがすでに智慧のようなものです。楽しいかもしれませんよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。うまくまとめられていない気がしますが、やること自体はすごく簡単そうでしょ? 嫌なものはやらずに、楽にやれそうなもので心を少し慰めてみる、そんな感じの実践、心のエクササイズ、心のマッサージになると思います。


では、ここまで読んでくださった方のこころに平穏が訪れますように。

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